妊娠して子供がお腹の中で順調に育っていくと、会える日が待ち遠しいですよね。
しかし、病院に行ってみると、お医者さんからまさかの一言。
「ありゃ。逆さまだね。逆子ですね。」
逆子とは、赤ちゃんがお腹の中で頭とお尻が反対になってしまっている状態です。
この状態では出産は、帝王切開になることが多いそうです。
実は鍼灸師の中では『逆子にはお灸が良い』というのは有名な話です。
しかしお灸について知らない人も多いと思います。
なので、今回は『逆子とお灸』についてお話していきます。
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頭位(とうい)と骨盤位(こつばんい)
妊娠中赤ちゃんは、通常、お尻を上にしてお母さんのお腹の中に入っています。
逆に頭を上にしてお腹の中にいる状態を逆子という状態です。
専門的には通常の状態を「頭位」といい、逆子の状態を「骨盤位」といいます。
原因は胎盤が子宮の入り口の近くにあったり、へその緒が短いなど様々です。
しかし原因が分からないことも多く、予防することはできません。
赤ちゃんはお腹の中で動いているので、自然に戻ったり、戻ってまた逆子になったりすることもあります。
へその緒の長さなど物理的な問題がある場合は難しいですが、逆子治療のためのお灸は昔から行われ、治療効果は高いです。
逆子は治した方がいいの?
それでは逆子を治した方がいいというのはなぜでしょうか。
逆子のお産はお母さんにも赤ちゃんにも負担が大きくリスクを伴います。
なので、病院で帝王切開(ていおうせっかい)という手術を行うことが多いです。
帝王切開をすると、妊娠前の身体に戻るのが遅れることが多いです。
また1回帝王切開を行うと、それ以降の出産はすべて帝王切開となります。
なので、安産のための1つとしても逆子を戻せるなら、戻せるに越したことはありません。
東洋医学での妊娠について
東洋医学では、妊娠に重要な臓腑は肝・脾・腎です。
肝はお母さんと赤ちゃんに必要な栄養となる血を蓄えています。
お母さんと赤ちゃん2人分のため、妊娠前よりも多くの血が必要となります。
そのため食べ物から血を得るために、消化や吸収を担う脾が重要なってきます。
また赤ちゃんがお腹の中で育つためには、成長や生殖を司っている腎が関与してきます。
これらの臓器が協力して血を子宮へ集めることで、妊娠は順調に進んでいきます。
東洋医学的な逆子になりやすい人の体質
東洋医学での逆子になる体質の人は以下の3つになります。
- 気滞(きたい)
- 脾虚湿停(ひきょしったい)
- 気血両虚(きけつりょうきょ)
子宮に血が集まるためには、気が全身を巡っている必要があります。
気の滞りや不足である気滞や気血両虚により逆子を起き起こします。
脾の機能低下により血は不足し、さらに湿が溜まることで赤ちゃんの動きを妨げになります。
3つの体質に効果的なツボとして至陰(しいん)と三陰交(さんいんこう)が挙げられます。
至陰は気の流れ良くして、三陰交は肝・脾・腎のバランスを調えてくれます。
お灸について
ここからはお灸の話をしていきますが、お灸について知っている人は、少ないのではないでしょうか。
お灸とは、ヨモギの葉っぱから作った艾(もぐさ)を、ちぎってツボの上において燃やす治療法です。
お灸の種類には、直接肌の上に置き火をつけて焼くものと、火をつけた艾の熱で温まるものがあります。
薬局で売っているせんねん灸なんかは後者になり、自分で行う場合はせんねん灸を使います。
逆子の灸
さていよいよ、逆子の灸についてお話していきます。
もし早い時期に逆子と分かってもお灸を始めるのは、16週からにしてください。
使うお灸は、薬局でも売っているせんねん灸の弱めの刺激であるマイルドかソフトです。
熱ければ効くというわけではなく、むしろ妊娠中はデリケートな状態なので、刺激は少しずつ入れていく方が安全です。
ツボは両足の三陰交と至陰に、1日1回ずつ行いましょう。
肌が弱い人は、1日毎に左右交互でも構いません。
そしてお灸の後は、少し横になって休んでください。
それはお灸の疲れを癒すことと、温熱効果により血流が良くなったので子宮により栄養が行くようにするためです。
また逆子のお灸は効果が高いですが、治らない方もいます。
治らなかった人は、へその緒が短かったり、子宮筋腫があって戻ることができないなどの物理的な理由があった人が多いです。
治らなかったら、39週までにして下さい。
お腹が張っている状態も、戻りにくい状態です。
なので、特に自分でお灸をする場合は、病院の先生とも相談しながら行っていくのが安全です。
逆子のお灸を自分でやる方法
それでは、いよいよ自分でお灸をやってみましょう。
まずは準備として、火を使うので下にタオルを敷き、近くには少し底があるお皿に水を張って用意して下さい。
ライターは、チャッカマンのように着火部位とボタンが離れている方が安全です。
楽に行えるようにあぐらをかくような姿勢で、リラックスして行いましょう。
【自分でお灸をする方法】
- せんねん灸の裏のシールを剥がし、写真のように手に貼ります。
- 火傷に注意しながら、ライターでお灸の先端に火をつけます。
- お灸の台座をつまみ、引っ張って取り、ツボに貼り付けます。
- そのまま、温かくなるまで待ちます。
- 熱くなってきたら、水の入ったお皿を近づけ、外してお皿に入れます。
- 1穴ずつ行い、両足に行ったら、火を消したことを確認し、横になり休んで下さい。
点火する際、ツボに先に置いてから点火をつけるのは、難しく危険です。
なので一度、手などせんねん灸をつけてから点火して、そのあとツボに置きましょう。
この時、お灸の台座も熱くなるので注意してください。
ご自宅でできるということは、慣れた環境でできるためリラックスして受けられ、さらに施灸後すぐに休められるので、利点も多いです。
妊産中は足がむくみやすく、ツボが取りにくいって人は、お近くの鍼灸院さんに相談してみて下さい。
まとめ
逆子は予防法がなく、妊娠したら誰にでも起こりえます。
逆子の出産にはリスクがあるので、病院では帝王切開となります。
帝王切開は、妊婦の身体が妊娠前に戻るのに時間がかかるので、逆子は治す方が安全です。
自然に治ることもありますが、昔からお灸は逆子に効果的です。
薬局で売っているお灸で、ご自宅でも逆子のお灸を行えるので、火傷に注意しながら行ってみて下さい。
またうまくできなかったり、心配な方はお近くの鍼灸院にご相談してみて下さい。
もしも妊娠して逆子でしたら、参考にしてみて下さい。